2005年3月5日

ミュンヘンはようやく雪どけ。屋根に積もった雪が溶け、水滴が垂れる音があちこちで響いています。つぐみ(英語のブラックバード)も、早朝に鳴き始めました。

日本や米国のマスコミはあまり報じていませんでしたが、イラクで数ヶ月にわたり人質になっていたイタリア人の女性ジャーナリストが、イタリアの情報機関員の交渉で解放されましたが、米軍兵士が誤って車列に発砲し、交渉にあたった情報機関員が死亡し、元人質も負傷するという事件が起きました。イタリアだけでなく、ヨーロッパで米軍の軽率さに対し、強い怒りが巻き起こっています。せっかくイラク人のテロリストから救出されたのに、米軍の攻撃によって死傷するとは、いくら故意でなくてもひどい話です。このジャーナリストはドイツの高質紙Die Zeitにも執筆していたので、ドイツ人の間ではこの人質事件に対する関心は、かなり高かったのです。

これに対して前向きな話題は、ベイルートでシリアがからむと見られる爆弾テロに民衆が抗議して、シリア軍のレバノンからの撤退を求め、親シリアの政権が退陣したことです。ちょっとウクライナを想像させる意外な出来事です。英米のメディアはイラクの影響で、中東の他の国々にも民主主義が拡大し始めている証拠と論評しています。だが本当に民主主義が拡大しているかどうかを見るには、イランやシリアで同様の出来事が起きなくてはなりますまい。